海を自由に航行するクルーザーに憧れる方は多いでしょう。しかし「クルーザーの値段っていくらなの?」「予算に合った船はどう選べばいいの?」という疑問をお持ちではありませんか?
実はクルーザーの値段は、サイズや装備、ブランドによって数百万円から数億円まで大きく異なります。さらに購入後の維持費も考慮する必要があります。
この記事では、クルーザーの値段相場をタイプ別・サイズ別に徹底解説。新艇と中古艇の価格差や、人気メーカー別の特徴と価格帯も比較します。さらに「高すぎる…」と諦める前に知っておきたい賢い購入方法もご紹介。
あなたの予算とライフスタイルに合ったクルーザー選びのための、最も詳しい値段ガイドをお届けします。
クルーザーの値段相場:サイズ・タイプ別比較【2025年最新】

クルーザーの値段は、そのサイズやタイプ、装備によって大きく異なります。2025年現在の市場データに基づいた、最新の価格相場をご紹介します。
小型クルーザー(20フィート以下)の値段帯:200万〜500万円
小型クルーザーは、初めてクルーザーを購入する方に最適なサイズです。比較的扱いやすく、維持費も抑えられます。
- 新艇の値段帯: 200万円~500万円
- 中古艇の値段帯: 100万円~350万円
- 主な用途: 2~4人程度での日帰りクルージング、釣り
- 維持費の目安: 年間30万円~50万円
小型クルーザーは、トレーラーでの運搬が可能なものも多く、マリーナでの保管料が比較的安価です。操作も比較的簡単なため、初心者にも扱いやすいでしょう。
中型クルーザー(20〜30フィート)の値段帯:1,000万〜3,000万円
中型クルーザーは、宿泊設備が充実し始め、本格的なクルージングを楽しめるカテゴリーです。
- 新艇の値段帯: 1,000万円~3,000万円
- 中古艇の値段帯: 500万円~2,000万円
- 主な用途: 4~8人程度での短期クルージング、一泊二日程度の航海
- 維持費の目安: 年間50万円~100万円
中型クルーザーには比較的充実した居住空間(ベッド、トイレ、簡易キッチンなど)があり、海外メーカーの選択肢も増えます。航続距離や航行性能も向上するため、本格的なマリンライフを楽しみたい方に適しています。
大型クルーザー(30フィート以上)の値段帯:3,000万〜1億円以上
大型クルーザーになると、本格的な居住空間を備え、長期間の航海も可能になります。ラグジュアリーな装備も充実し始めます。
- 新艇の値段帯: 3,000万円~1億円以上
- 中古艇の値段帯: 2,000万円~7,000万円
- 主な用途: 8人以上での長期クルージング、エンターテイメント
- 維持費の目安: 年間100万円~300万円
大型クルーザーは豪華な内装と設備(複数のベッドルーム、フルキッチン、シャワールームなど)を備えています。操船には経験と技術が必要で、維持費も大幅に上昇します。
超高級クルーザー・メガヨットの値段:1億円〜数十億円
超高級クルーザーやメガヨットは、最高級の材質と技術を結集した究極の船舶です。
- 代表例: レクサスLY680(約7億7,000万円)、アズィムット 120(約15億円)など
- 特徴: 専属スタッフが必要なほどの規模と豪華さ
- 維持費の目安: 年間数千万円~1億円以上
この価格帯のクルーザーは、富裕層向けの特別なカテゴリーであり、プロのクルーによる運航が一般的です。
【徹底比較表】人気クルーザーの値段一覧

同じサイズカテゴリーでも、メーカーやタイプによって値段は大きく異なります。ここでは人気の国産・海外メーカーの代表モデルの値段を比較してみましょう。
国産メーカー(ヤマハ・トヨタマリン)の代表モデルと値段
日本の海域に適した設計と充実したサポート体制が魅力の国産クルーザー。代表的なモデルと値段をご紹介します。
ヤマハ FR-23 – コンパクトで使いやすい国産クルーザー

参照:Boat Time
- 新艇値段: 450万円~
- 中古値段(5年落ち): 250万~350万円
- 特徴: 日本の海域に適した設計、充実したアフターサービス、4〜5人が快適に過ごせるキャビン
ヤマハのFR-23は、日本の海域に適した設計で国内シェア上位を誇る人気モデルです。全長23フィートというコンパクトなサイズながら、4〜5人が快適に過ごせるキャビンを備えています。
トヨタマリン ポーナム28 – 高品質な国産中小型クルーザー

- 新艇値段: 780万円~
- 中古値段(5年落ち): 500万~700万円
- 特徴: 自動車メーカートヨタのクオリティ、高品質な内装、6人程度での日帰りクルージング
トヨタマリンのポーナム28は、自動車メーカートヨタのクオリティが感じられる高品質なクルーザーです。28フィートというサイズながら、内装の質感や収納の工夫など、細部まで行き届いた作りが特徴です。
海外メーカー(シーレイ・バイラナー・アズィムット)の値段比較
デザイン性や走行性能に優れた海外メーカーのクルーザー。国産モデルとは異なる魅力があります。
シーレイ サンダンサー320 – 快適なファミリークルーザー

参照:Sea Ray
- 新艇値段: 2,500万円~
- 中古値段(5年落ち): 1,400万~1,800万円
- 特徴: 広々としたキャビン、洗練されたデザイン、2つのベッドルーム、6人までの宿泊が可能
シーレイ サンダンサー320は、世界的に人気の高いシーレイブランドのベストセラーモデルの一つです。32フィートというサイズながら、広々としたキャビンと洗練されたデザインが特徴で、8人程度でのクルージングに適しています。
アズィムット 50 フライ – イタリア製高級クルーザーの代表格

参照:AZIMUT
- 新艇値段: 1億8,900万円~(税込約2億412万円)
- 中古値段(5年落ち): 1億1,500万~1億4,000万円
- 特徴: 洗練されたイタリアンデザイン、最高級の内装材、3つの独立したキャビン、6人宿泊可能
アズィムット 50 フライは、イタリアの高級ヨットブランド「アズィムット」が誇る50フィートの豪華クルーザーです。洗練されたイタリアンデザインと最高級の内装材を使用した船内空間が特徴で、美しさと機能性を高次元で融合させています。
最高級ブランド(サンシーカー・レクサス)の値段と特徴
世界最高峰の技術とデザインを結集した超高級クルーザーの世界をご紹介します。
レクサス LY680 – 日本が誇る最高級ヨット
- 新艇値段: 7億7,000万円(2024年発表)
- 全長: 約21メートル(68フィート)
- 特徴: レクサスのデザイン哲学を取り入れた究極の豪華ヨット、最大定員15人、3つの客室
レクサスLY680は、トヨタ自動車のレクサスブランドが手掛ける究極の豪華ヨットです。クルマづくりで培った技術とデザイン哲学を海上の乗り物に応用し、他に類を見ない上質な空間と走行性能を実現しています。
サンシーカー 68 ヨット – 英国製超高級ヨット

参照:itBoat
- 新艇値段: 3億円~
- 中古値段(5年落ち): 1億8,000万~2億2,000万円
- 特徴: 英国の伝統と革新の融合、4つの豪華なキャビン、8人までの宿泊が可能
サンシーカー 68 ヨットは、英国の名門ヨットビルダー「サンシーカー」による68フィートの超高級モデルです。英国らしい伝統と革新を融合させた洗練されたデザインと、徹底的な品質管理のもとで生み出される高級感が最大の魅力です。
【価格比較表】同サイズ帯の新艇値段比較(2025年最新)
サイズカテゴリー | メーカー・モデル | 新艇値段(万円) | 中古値段5年落ち(万円) | 年間維持費目安(万円) |
---|---|---|---|---|
小型 (~20フィート) | ヤマハ FR-23 | 450~ | 250~350 | 30~40 |
シーレイ 190SPX | 380~ | 220~300 | 25~35 | |
ボストンホエラー 230 | 550~ | 350~450 | 35~45 | |
中型 (20~30フィート) | トヨタ ポーナム28 | 780~ | 500~700 | 50~70 |
シーレイ サンダンサー320 | 2,500~ | 1,400~1,800 | 80~120 | |
バイラナー 3288 | 2,200~ | 1,200~1,500 | 70~100 | |
大型 (30フィート~) | アズィムット 50 | 18,900~ | 11,500~14,000 | 400~600 |
サンシーカー 68 | 30,000~ | 18,000~22,000 | 700~1,000 | |
レクサス LY680 | 77,000 | – | 1,500~ |
※価格は2025年4月現在の参考値です。為替変動や仕様変更により実際の価格は変動する場合があります。
クルーザーの新艇vs中古艇:値段の差はどれくらい?

クルーザーを購入する際、新艇と中古艇のどちらを選ぶかで大きく予算が変わります。それぞれのメリット・デメリットと価格差を理解し、賢い選択をしましょう。
新艇購入のメリット・デメリットと正確な値段の調べ方
新艇は最新のテクノロジーと設備を備え、自分好みにカスタマイズできる魅力があります。
新艇購入のメリット
- 最新の技術と設備を備えている
- 自分の好みに合わせてカスタマイズ可能
- メーカー保証が付く
- 過去の使用履歴を気にする必要がない
- 最新の安全基準に適合している
新艇購入のデメリット
- 初期投資が大きい(中古の1.5~2倍以上)
- 納艇まで時間がかかる場合がある(特に高級モデル)
- 最初の数年で大きく値下がりする
- カスタマイズのコストが追加でかかる
新艇の値段を正確に調べる方法
- メーカー公式サイトで基本価格を確認
- オプション装備のリストと価格を確認
- 複数のディーラーから見積もりを取る
- カタログ価格に加えて、登録諸費用(約10~15%)も考慮
- メーカー保証の内容と期間を確認
中古クルーザーの値崩れ率(サイズ・ブランド別)
クルーザーはその種類やブランドによって値崩れの傾向が異なります。購入後の資産価値を考える上で、値崩れ率は重要なポイントです。
カテゴリー | 3年後の価値 | 5年後の価値 | 10年後の価値 | 値崩れのしにくさ |
---|---|---|---|---|
小型国産クルーザー | 新艇の約70% | 新艇の約60% | 新艇の約40% | 中 |
小型海外クルーザー | 新艇の約65% | 新艇の約55% | 新艇の約35% | 低 |
中型国産クルーザー | 新艇の約75% | 新艇の約65% | 新艇の約45% | 中 |
中型高級欧州クルーザー | 新艇の約70% | 新艇の約60% | 新艇の約40% | 中〜高 |
大型高級クルーザー | 新艇の約80% | 新艇の約70% | 新艇の約50% | 高 |
最高級ブランド(限定モデル) | 新艇の約85% | 新艇の約75% | 新艇の約60% | 非常に高 |
一般的に、大型の高級クルーザーや人気ブランドのリミテッドモデルは値崩れしにくい傾向にあります。逆に、量産型の小型クルーザーは比較的早く値下がりします。
中古クルーザー購入時の値段交渉ポイント
中古クルーザーを購入する際は、以下のポイントを押さえて賢く交渉しましょう。
- エンジン稼働時間の確認:1,000時間以上の場合は値引き交渉の材料になります
- 船底の状態:海洋生物の付着や傷がある場合、補修費用を考慮した値引きを交渉
- 電装品や機器の状態:古い電子機器は更新費用が必要になるため、値引き交渉の根拠に
- 内装の状態:シートやカーペットの劣化、カビの有無をチェック
- メンテナンス履歴:適切なメンテナンスが行われていない場合は大幅値引きを検討
- 市場滞留期間:長期間売れ残っている船は値引き交渉がしやすい
中古クルーザーの購入では、船舶検査士(サーベイヤー)による第三者検査を依頼するのも安心です。検査費用(10~20万円程度)はかかりますが、隠れた問題点を発見できれば、大きな出費を避けられる可能性があります。
【年式別比較表】人気モデルの値段推移
人気モデルの年式による値段変動を見ることで、中古クルーザー購入の参考にしましょう。
モデル名 | 新艇価格 | 3年落ち | 5年落ち | 10年落ち |
---|---|---|---|---|
ヤマハ FR-23 | 450万円 | 320万円 | 250万円 | 150万円 |
トヨタマリン ポーナム28 | 780万円 | 600万円 | 500万円 | 350万円 |
シーレイ サンダンサー320 | 2,500万円 | 1,800万円 | 1,400万円 | 800万円 |
アズィムット 50 | 1億8,900万円 | 1億3,000万円 | 1億1,500万円 | 8,000万円 |
クルーザーは購入後3年で約30%、5年で約40~50%、10年で約60~70%程度の価値減少が一般的です。ただし、状態の良さや人気モデルであるかによって、この値下がり率は大きく変動します。
目的別・おすすめクルーザーと値段

クルーザー選びでは、使用目的に合った船を選ぶことが重要です。目的別におすすめのクルーザーとその値段をご紹介します。
釣り目的におすすめのフィッシングクルーザーと値段
釣りを中心に楽しみたい方には、専用の装備が充実したフィッシングクルーザーがおすすめです。
- ヤマハ FR-23:フィッシングボートとしても使える汎用性の高さが魅力、450万円~
- パーカー 2520XLD:オフショア釣りに最適な頑丈な構造、650万円~
- グラディウス 282CC:最先端の魚探と広いデッキスペースが特徴、700万円~
釣り目的でクルーザーを選ぶ際は、ロッドホルダーの数や配置、ライブウェル(生簀)の有無、デッキの広さ、清掃のしやすさなどをチェックしましょう。
ファミリー向け宿泊対応クルーザーと値段
家族での宿泊航海を楽しみたい方には、安全性と居住性を備えたファミリークルーザーがおすすめです。
- トヨタマリン ポーナム28:日本の海域に適した安定性と快適な居住空間、780万円~
- シーレイ サンダンサー320:2つのベッドルームと充実したギャレーを備え、家族での長期滞在に最適、2,500万円~
- バイラナー 3288:コストパフォーマンスに優れた実用的な居住スペース、2,200万円~
ファミリー向けのクルーザーを選ぶ際は、プライバシーを確保できるキャビン配置、キッチンの使いやすさ、トイレ・シャワーの設備、収納スペースの多さなどがポイントです。
エンターテイメント・パーティー向けの値段と装備
友人とのパーティーや社交的な目的でクルーザーを活用したい方におすすめのモデルです。
- カーバー C36:広いフライブリッジでのエンターテイメントに最適、6,000万円~
- プリンセス F45:洗練されたデザインと快適なサロンスペース、1億2,000万円~
- アズィムット 50 フライ:豪華なサロンと開放的なフライブリッジ、1億8,900万円~
エンターテイメント目的のクルーザーでは、広々としたデッキスペース、充実したオーディオシステム、バーカウンターなどの装備がポイントになります。
初心者におすすめの入門クルーザーと値段
初めてクルーザーを購入する方には、操船が比較的容易で維持費も抑えられるモデルがおすすめです。
- シーレイ 190SPX:コンパクトで扱いやすく、初心者に適した設計、380万円~
- ヤマハ SR-21:安定した船体と信頼性の高いエンジン、420万円~
- フォーウィンズ Vista 255:操縦が容易で基本設備が充実、550万円~
初心者の方がクルーザーを選ぶ際は、アフターサービスの充実度、操船の容易さ、メンテナンスのしやすさを重視するとよいでしょう。また、プレジャーボート免許の取得も忘れずに。
【2025年最新】注目の人気クルーザーと値段

2025年に注目の最新クルーザーモデルと、その特徴・値段をご紹介します。
ヤマハ最新モデルの値段と特徴
日本を代表するマリンメーカー、ヤマハの2025年最新モデルです。
- ヤマハ SR-X100:環境に配慮した次世代エンジンを搭載した新モデル、650万円~
- ヤマハ AX220:スポーティな走行性能と快適な居住性を両立、520万円~
- ヤマハ DFR-33:最新のナビゲーションシステムを搭載した本格派クルーザー、1,500万円~
ヤマハの新モデルでは、特に操作性の改善と環境性能の向上が目立ち、スマートフォン連携機能など先進的な装備も充実しています。
ヨーロッパブランドの注目モデルと値段
洗練されたデザインと高い品質で人気のヨーロッパブランドの最新モデルです。
- プリンセス F45 (2025年モデル):英国の伝統と革新が融合した最新フライブリッジモデル、1億2,000万円~
- アズィムット S7 (2025年モデル):イタリアンデザインの粋を集めたスポーツクルーザー、2億円~
- フェラッティ 500 (2025年モデル):ラグジュアリーなイタリア製ヨット、2億5,000万円~
2025年のヨーロッパモデルでは、サステナビリティへの配慮と最新テクノロジーの融合が進み、高級感と環境性能を両立させた注目モデルが続々と登場しています。
レクサスLY680の値段と豪華設備
2024年3月に発表されたレクサスクルーザーの最新モデル「LY680」の詳細です。
- 新艇値段: 7億7,000万円(税込)
- 全長: 約21メートル(68フィート)
- 最大定員: 15人
- 客室数: 3部屋(ベッド6名対応)
レクサスLY680は、自動車デザインで培った「Lフィネス」デザイン哲学を海上の乗り物に応用した究極の豪華ヨットです。前モデルLY650から進化し、より洗練されたデザインと快適性を実現しています。納艇は2026年春を予定しています。
最新テクノロジー搭載モデルの値段と特徴
最先端のテクノロジーを搭載した2025年の注目モデルです。
- サンシーカー eライン25(ハイブリッド):電気推進システムを搭載した環境配慮型クルーザー、1億円~
- ベネッティ B.ヨンド (2025年モデル):AI航行アシスト機能を搭載した革新的ヨット、7億円~
- ウィンディ SR52 オートパイロット:高度な自動操縦システムを搭載した先進クルーザー、2億5,000万円~
2025年は特に環境性能と自動化技術の進化が顕著で、電気推進やハイブリッドシステム、AI支援による操船の簡略化など、マリン業界にも技術革新の波が押し寄せています。
クルーザー値段以外に考慮すべき維持費

クルーザーの購入を検討する際は、本体価格だけでなく、維持にかかる継続的なコストも考慮する必要があります。年間でどれくらいの出費があるのか、主な維持費の項目をご紹介します。
船舶保険:値段の目安と選び方
船舶保険は、プレジャーボート保険とも呼ばれ、船体や第三者への損害をカバーする重要な保険です。
クルーザーの価格帯 | 年間保険料の目安 | 主なカバー内容 |
---|---|---|
500万円未満 | 5~10万円 | 船体損害、対人・対物賠償 |
500万~1,000万円 | 10~20万円 | 船体損害、対人・対物賠償、搭乗者傷害 |
1,000万~3,000万円 | 20~40万円 | 船体損害、対人・対物賠償、搭乗者傷害、救助費用 |
3,000万円以上 | 40~100万円以上 | 船体損害、対人・対物賠償、搭乗者傷害、救助費用、休業補償など |
船舶保険を選ぶ際のポイント:
- 使用頻度や航行エリアに応じた補償内容を選ぶ
- 対人・対物賠償は十分な補償額を確保する(最低1億円以上推奨)
- 免責金額(自己負担額)を調整して保険料を抑える
- 複数の保険会社から見積もりを取り比較する
保管料:マリーナ別の料金比較
クルーザーの保管場所としてマリーナを利用する場合、船のサイズとマリーナの立地によって費用が大きく変わります。
エリア | 小型(~20フィート) | 中型(20~30フィート) | 大型(30フィート~) |
---|---|---|---|
東京湾周辺 | 15~25万円/年 | 30~50万円/年 | 60~100万円/年 |
神奈川・横浜 | 12~20万円/年 | 25~45万円/年 | 50~80万円/年 |
大阪湾周辺 | 10~18万円/年 | 20~40万円/年 | 45~70万円/年 |
瀬戸内海 | 8~15万円/年 | 15~30万円/年 | 35~60万円/年 |
九州・沖縄 | 7~14万円/年 | 14~28万円/年 | 30~55万円/年 |
マリーナの選択ポイント:
- 自宅からのアクセスの良さ
- 施設の充実度(給油、給水、電源など)
- セキュリティの充実度
- 台風時の安全対策
- 陸上保管と係留の選択肢
地方のマリーナでは比較的料金が安く、都市部近郊のマリーナでは高額になる傾向があります。また、陸上保管とマリーナでの係留では、料金体系が異なるため、使用頻度や予算に応じて選択しましょう。
年間メンテナンス費用の実態
クルーザーを良好な状態で維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
- エンジンオイル交換:年1~2回、1~5万円
- 船底清掃・塗装:年1回、5~20万円(サイズによる)
- 防蝕亜鉛交換:年1~2回、1~3万円
- バッテリー交換:2~3年ごと、3~10万円
- 船検(小型船舶検査):6年ごと、5~15万円
- 定期点検:年1回推奨、3~10万円
- その他消耗品:年間約5万円
船のサイズ別の年間メンテナンス費用目安:
- 小型(~20フィート):15~25万円/年
- 中型(20~30フィート):25~50万円/年
- 大型(30フィート~):50~100万円以上/年
特に海水中で使用するクルーザーは腐食や生物付着など特有の劣化要因があり、定期的なメンテナンスが必須です。予防的なメンテナンスを怠ると、後々大きな修理費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
燃料費:サイズ別の目安と計算方法
クルーザーの燃料費は、エンジンサイズと使用頻度によって大きく変わります。
船のサイズ | 1時間あたりの燃料消費量 | 1日(8時間)の燃料費 | 年間使用10日の燃料費 |
---|---|---|---|
小型(~20フィート) | 15~25L | 約2~3万円 | 約20~30万円 |
中型(20~30フィート) | 30~60L | 約4~8万円 | 約40~80万円 |
大型(30~40フィート) | 60~120L | 約8~15万円 | 約80~150万円 |
超大型(40フィート~) | 120L~ | 約15万円~ | 約150万円~ |
※燃料単価は船舶用軽油または船舶用ガソリン(150円/L前後)で計算
燃料費を抑えるポイント:
- 経済速度(最も燃費の良い速度)で航行する
- 船底の汚れを定期的に清掃して抵抗を減らす
- 不要な積載物を減らして船体を軽くする
- 風や潮流に配慮したルート選定をする
- 新しいエンジンに買い替える(近年のモデルは燃費性能が向上)
燃料費の計算方法:エンジン出力(HP)×0.1 = 1時間あたりの燃料消費量(L)という概算式で、ある程度の目安がつきます。例えば300HPのエンジンなら、1時間あたり約30Lの燃料を消費します。
クルーザーを賢く購入する方法:値段を抑えるコツ

クルーザーの購入費用を抑えるためのテクニックをご紹介します。賢い選択で、予算内に収めつつ満足度の高い船舶ライフを始めましょう。
展示艇・モデルチェンジ時の割引情報
新艇購入時でも、タイミングや交渉次第で大幅な値引きが可能です。
- 展示艇購入:展示会やショールームで使用されていた艇は、新艇と同等の状態ながら10~20%程度安く購入できることがあります
- モデルチェンジ前の在庫処分:新モデル発表前の旧モデルは15~25%程度の割引が期待できます
- 年度末の在庫処分:多くのディーラーは年度末(2~3月)に在庫を整理するため、この時期は交渉の余地が大きくなります
- ボートショー特別価格:ジャパンインターナショナルボートショーなどの展示会では、特別割引価格で提供されることが多いです
値引き交渉のポイント:
- 複数のディーラーから見積もりを取り、価格競争を促す
- オプション装備をパッケージとして交渉する
- 現金一括払いの場合は、その旨を伝えて値引き交渉
- 小さなオプションや付属品を無料にしてもらうよう交渉
中古艇のベストシーズンと値段交渉術
中古クルーザー購入では、タイミングと交渉術が重要です。
- ベストシーズン:
- オフシーズン(11月~2月):最も価格交渉の余地がある時期
- モデルチェンジ直後:旧モデルの中古価格が下がりやすい
- 税金支払い時期前(3月頃):資金需要で売り急ぐオーナーも
- 値段交渉のポイント:
- 船体やエンジンの不具合を指摘し、修理費用分の値引きを交渉
- 長期間売れ残っている場合は、その点を指摘して交渉
- 船検の残り期間が短い場合は、船検費用分の値引きを提案
- ボートローンが組める準備があることをアピール
中古艇購入前のチェックポイント:
- エンジン稼働時間と整備記録の確認
- 船底の状態(海洋生物付着、腐食など)
- 電装品の作動確認
- 内装の劣化状況
- 可能であれば試乗して実際の状態を確認
ボートローンの金利比較と活用法
クルーザー購入に際して、ボートローンを賢く活用することも資金計画の一つの選択肢です。
ローン種類 | 金利(年率) | 最長期間 | メリット・デメリット |
---|---|---|---|
銀行マリンローン | 2.5~4.5% | 10年 | 比較的低金利だが審査が厳格 |
信販会社ボートローン | 3.5~6.0% | 15年 | 審査が比較的容易、ディーラー経由で申込可能 |
ディーラー提携ローン | 3.0~5.5% | 10年 | 手続きが簡単、特別金利キャンペーンあり |
住宅ローン活用 | 1.0~2.5% | 35年 | 最も低金利だが住宅担保が必要 |
ボートローン活用のポイント:
- 複数の金融機関から見積もりを取り比較する
- 頭金を多めに用意して借入額を抑える
- 金利優遇キャンペーンを活用する
- 繰り上げ返済オプションのあるローンを選ぶ
- ボーナス払いの活用で月々の負担を軽減
例えば、1,000万円のクルーザーを金利3.5%、10年ローンで購入した場合、月々の返済額は約9.9万円、総支払額は約1,188万円となります。金利の1%違いで、10年間で約50万円の差が生じるため、金利比較は非常に重要です。
シェアリング・共同所有で値段負担を軽減
クルーザーの購入費用と維持費を複数人で分担する方法も、コスト削減の選択肢として注目されています。
- 友人・知人との共同所有:
- メリット:初期費用と維持費の負担を分散できる
- 注意点:使用スケジュールの調整や維持管理の責任分担を明確にした契約書作成が必要
- シェアリングサービス活用:
- メリット:初期投資なしで高級クルーザーを使用可能
- コスト目安:年間30~100万円程度で、指定回数使用できるプランが多い
- 注意点:人気日程は予約が取りにくい、自分好みのカスタマイズはできない
- フラクショナル・オーナーシップ:
- 一定の持分(1/4や1/8など)を購入するタイプの共同所有
- メリット:所有権があり、年間使用日数が保証される
- コスト目安:船価の持分割合(例:1億円の船の1/4持分なら2,500万円)+年間管理費
シェアリングや共同所有を検討する際の確認ポイント:
- 使用スケジュールの決定方法
- 維持費・修理費の分担方法
- 船の保管場所と使用可能なエリア
- 将来的な売却や持分譲渡の条件
- 保険の適用範囲と責任分担
特に年間使用回数が少ない場合(10日以下など)は、所有よりもシェアリングの方がコスト効率が高い場合が多いです。使用頻度と予算に応じて最適な選択をしましょう。
予算別おすすめクルーザー

予算に応じたクルーザー選びのポイントと、各価格帯でおすすめのモデルをご紹介します。
500万円以下で手に入るおすすめモデル
限られた予算でもマリンライフを楽しめる、コストパフォーマンスの高いモデルです。
- ヤマハ SR-21(中古3年落ち):
- 価格帯:300~380万円
- 特徴:安定した走行性能と国産の信頼性、4~5人での日帰りクルージングに最適
- シーレイ 190SPX(新艇):
- 価格帯:380~450万円
- 特徴:コンパクトながら高品質な内装、初心者でも扱いやすい
- ボストンホエラー 190 Montauk(中古5年落ち):
- 価格帯:350~450万円
- 特徴:耐久性に優れた船体構造、釣りやマリンスポーツなど多目的に使用可能
500万円以下の予算では、小型の新艇か中型の中古艇が選択肢となります。初期費用を抑えつつ、維持費も比較的安価なこの価格帯は、クルーザーデビューに最適です。
1,000万円台で選べる高コスパモデル
1,000万円台の予算では、十分な装備と性能を備えた中型クルーザーが選べます。
- トヨタマリン ポーナム28(新艇):
- 価格帯:780~950万円
- 特徴:国産ならではの使いやすさと高品質、充実したアフターサービス
- バイラナー 3288(中古5年落ち):
- 価格帯:1,200~1,500万円
- 特徴:広々としたキャビンと実用的なレイアウト、6人までの宿泊が可能
- シーレイ サンダンサー290(新艇):
- 価格帯:1,500~1,800万円
- 特徴:洗練されたデザインと快適な居住空間、ファミリーでの週末利用に最適
1,000万円台では、宿泊設備の充実した中型新艇か、より広い居住空間を持つ大型の中古艇が選べます。本格的なクルージングを楽しみたい方に適した予算帯です。
3,000万円台の本格クルーザー
3,000万円台の予算では、高級感と充実した装備を備えた本格的なクルーザーが選べます。
- シーレイ サンダンサー320(新艇):
- 価格帯:2,500~3,000万円
- 特徴:2つのキャビンと充実した設備、長期滞在も快適に過ごせる
- プリンセス F45(中古3年落ち):
- 価格帯:8,000~9,000万円
- 特徴:英国の高級ブランド、優雅なクルージングを楽しめる豪華な設備
- アズィムット 42(中古5年落ち):
- 価格帯:7,000~8,000万円
- 特徴:イタリアンデザインの粋を集めた高級クルーザー、洗練された内装
3,000万円台では、中型の高級新艇か、大型の中古高級クルーザーが選択肢となります。長期クルージングや社交的な用途にも適した、本格的なマリンライフを楽しめる予算帯です。
1億円超の究極の選択肢
1億円を超える予算では、最高級の装備とデザインを備えた究極のクルーザーが選べます。
- アズィムット 50 フライ(新艇):
- 価格帯:1億8,900万円~
- 特徴:イタリアンデザインの最高峰、3つのキャビンと豪華なサロン
- サンシーカー 68 ヨット(中古3年落ち):
- 価格帯:2億2,000万円~
- 特徴:英国の名門ビルダーによる最高級ヨット、豪華なインテリア
- レクサス LY680(新艇予約):
- 価格帯:7億7,000万円
- 特徴:日本が誇る最高級ブランドの究極のヨット、2026年春納艇予定
1億円超の予算では、世界最高峰のクルーザーブランドの新艇か、さらに上位モデルの中古艇が選択肢となります。専属クルーを雇用して運航するケースも多く、まさに「海の上の豪邸」としての贅沢な体験を提供します。
クルーザー値段に関するQ&A

クルーザーの値段に関するよくある質問と回答をまとめました。購入を検討する際の参考にしてください。
「クルーザーの値段はどうして大きく違うの?」
クルーザーの値段が大きく異なる主な理由は以下の通りです:
- サイズの違い:一般的に大きなクルーザーほど高価になります。サイズが2倍になると、値段は3~4倍になることも。
- ブランドの違い:アズィムット、サンシーカー、レクサスなどの高級ブランドは、同サイズの一般ブランドより50~100%高価です。
- 内装と装備の違い:高級木材や最新電子機器など、内装と装備のグレードで大きく値段が変わります。
- 生産国の違い:イタリア、イギリス、アメリカなど、生産国によって人件費や輸送コストが反映されます。
- エンジンの違い:搭載エンジンのパワーや数によって、数百万円の差が生じます。
例えば、同じ30フィートクラスでも、エントリーレベルのマスプロモデルなら2,000万円程度から、高級ブランドの豪華モデルなら5,000万円以上まで、価格帯に大きな幅があります。
「新艇と中古艇、どちらがお得?」
新艇と中古艇にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらがお得とは言えません。
項目 | 新艇 | 中古艇 |
---|---|---|
初期費用 | 高い(フルプライス) | 安い(3年落ちで30~40%安) |
カスタマイズ | 自由に選択可能 | 前オーナーの選択に依存 |
信頼性 | 高い(保証付き) | 状態による(検査が重要) |
維持費初年 | 比較的低い | やや高い(修理が必要なことも) |
値下がり | 購入後3年で30%程度下落 | 緩やかな下落 |
入手可能性 | 待機期間が必要なことも | すぐに入手可能 |
お得かどうかの判断基準:
- 新艇がお得な場合:
- 自分好みの装備にこだわりたい場合
- 長期間(10年以上)使用する予定がある場合
- メンテナンスの手間や不安を避けたい場合
- 中古艇がお得な場合:
- 初期投資を抑えたい場合
- 中期的(3~7年程度)の使用を想定している場合
- 維持管理の知識があり、多少の修理に対応できる場合
一般的には、良好な状態の3~5年落ちの中古艇が、コストパフォーマンスに優れていると言えます。ただし、状態確認が重要なため、第三者検査(サーベイ)を依頼することをおすすめします。
「クルーザーは値下がりしやすい?」
クルーザーは一般的に自動車よりも値下がりが緩やかですが、特に初期の減価償却は大きいです。
- 新艇購入後の値下がりパターン(一般的な目安):
- 1年目:15~20%減価
- 3年目:30~35%減価
- 5年目:40~50%減価
- 10年目:60~70%減価
- 値下がりしにくいクルーザーの特徴:
- 人気の高級ブランド(アズィムット、サンシーカーなど)
- 生産数の少ない限定モデル
- 優れた設計で時代を超えて人気のあるモデル
- 保管状態と整備状態の良いもの
- 値下がりしやすいクルーザーの特徴:
- 大量生産された一般的なモデル
- 特徴のない標準的なデザイン
- 内装や装備が時代遅れになりやすいもの
- 燃費の悪いエンジンを搭載したモデル
クルーザーを投資対象と考えるのではなく、使用によって得られる満足やライフスタイルの価値として考えるのが現実的です。特に国産ブランドは部品供給の安定性から、長期使用を前提とした購入が価値を最大化します。
「値段以外に重視すべきポイントは?」
クルーザー選びでは、値段だけでなく以下のポイントも重視することで、後悔のない選択ができます。
- 使用目的との適合性:
- 釣りが目的なら十分なデッキスペースとタックルストレージ
- 家族での宿泊が目的なら快適な居住空間とプライバシー
- パーティーが目的なら広いエンターテイメントスペース
- 使用海域との適合性:
- 内湾中心なら低い喫水と操作性重視
- 外洋に出るなら十分な船体強度と安定性
- 河川や湖でも使用するなら取り回しやすいサイズ
- アフターサービスの充実度:
- 修理やメンテナンスのサポート体制
- 近隣のディーラーやサービス拠点の有無
- 部品の供給状況と入手のしやすさ
- 総所有コスト(TCO):
- 燃費効率と年間の燃料費見込み
- 保険料の見積もり
- 係留料とメンテナンス費用の予測
- 将来の売却価値:
- 人気モデルかどうか
- 中古市場での需要
- ブランドの信頼性と評判
値段内で最も自分のニーズに合ったクルーザーを選ぶことが、長期的な満足につながります。試乗や経験者からのアドバイスを参考にすることも非常に重要です。
まとめ:あなたに合ったクルーザーの選び方

クルーザーの値段に関する情報をまとめました。最適なクルーザー選びのために、以下の5つのステップを参考にしてください。
- 予算の明確化:購入価格だけでなく、年間維持費(保険、保管料、燃料費、メンテナンス費)も含めた総予算を設定しましょう。一般的には購入価格の10~15%が年間維持費の目安です。
- 使用目的と頻度の特定:釣り、クルージング、宿泊、エンターテイメントなど、主な使用目的と年間使用日数を明確にし、それに最適なサイズとタイプを選びましょう。
- 新艇か中古艇かの決断:予算と優先事項に基づいて、新艇と中古艇のメリット・デメリットを比較検討しましょう。中古なら専門家の検査をお勧めします。
- 情報収集と比較:ボートショーの訪問、メーカーカタログの取り寄せ、ネット上のレビュー確認、所有者の意見聴取など、複数の情報源から詳細を集めて比較しましょう。
- 試乗と最終判断:可能な限り試乗を行い、実際の乗り心地や操作感を確認することが、満足度の高い選択につながります。
クルーザーは高額な買い物ですが、適切な選択と管理により、何年にもわたって素晴らしいマリンライフを提供してくれます。本記事が、あなたの理想のクルーザー選びの一助となれば幸いです。
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※本記事の価格情報は2025年4月時点のものです。為替変動や市場状況により変更される場合があります。実際の購入前には、最新の価格情報をディーラーやメーカーにご確認ください。