水深100mを超える釣りに手を出すと、手巻きでは体力が持ちません。1日に何度も仕掛けを上下させれば、それだけで釣りになりません。
そこで電動リールです。ただし電動リールはリール単体では成立しない道具で、電源をどう確保するかまで含めて考える必要があります。
この記事では、リールの選び方と、オーナー艇での電源のつくり方をセットで解説します。
電動リールが必要になる釣り
| 釣り | 水深 | 電動の必要性 |
|---|---|---|
| ライトな五目釣り | 〜50m | 手巻きで十分 |
| タチウオ・イカ・中深場 | 50〜150m | あると快適。小型電動が活きる |
| アカムツ・キンメなど深場 | 150〜400m | ほぼ必須 |
| 大型青物の泳がせ | 可変 | 巻き上げ力が武器になる |
目安として、水深100mを超える釣りを年に数回以上やるなら投資する価値があります。それ以下なら手巻きで足ります。
番手の選び方
メーカーによって番手の表記は異なりますが、判断基準は「必要なライン容量」と「最大巻き上げ力」の2つです。
| クラス | ライン容量の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 小型(150〜300クラス) | PE2号 200〜300m | タチウオ・イカ・浅い中深場。軽くて汎用性が高い |
| 中型(400〜600クラス) | PE3〜4号 400〜600m | 中深場全般。最も潰しが効く |
| 大型(800〜1000以上) | PE6号 600m以上 | 深海・大型狙い専用 |
最初の1台は「小型〜中型」
大型は重く、価格も高く、そして持っていても使う機会が限られます。まずは自分がよく行く海域の水深を確認し、その水深の2倍のラインが巻ける番手を選んでください。
水深150mの釣りに対して300m巻ける機種、という考え方です。潮で流されるぶんのラインが必要になるため、水深ちょうどでは足りません。
見ておきたい機能
- 水深カウンター:必須。全機種に付いています
- 船縁停止(クラッチ自動オフ):仕掛けを巻き込んでロッドを破損する事故を防ぎます
- 棚メモリ:同じ層を繰り返し狙うときに便利
- ジョグダイヤル/レバー:片手で速度調整できるか。長時間使うと差が出ます
電源をどうするか:ここが本題
電動リールはDC12Vで動きます。電源の選択肢は3つです。
| 方式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 船のバッテリーから直接 | 追加の荷物ゼロ。容量に余裕がある | 使いすぎるとエンジンがかからなくなる |
| 専用の釣り用バッテリー | 船の電源系と切り離せる。安全 | 重量と充電の手間 |
| ポータブル電源(DC出力付き) | 他の用途にも使える | 電動リールの瞬間的な大電流に対応しない製品がある |
船の主バッテリーから直接取るのは危険がある
最も手軽ですが、最も危ない方法でもあります。
電動リールは巻き上げ時に大きな電流を消費します。深場で何度も巻き上げれば、バッテリーは着実に減ります。エンジン始動用のバッテリーを釣りで使い切ってしまうと、洋上でエンジンがかからなくなります。
これは実際に起きる事故です。エンジンをかけて発電している状態なら消費を補えますが、ドテラ流しでエンジンを止めて釣る場合は補充電されません。
推奨は「独立した釣り用バッテリー」
- 船の電源系と完全に切り離せるため、最悪でも帰港には影響しない
- リールを使わない釣行では積まなくてよい
- 釣り用バッテリーはディープサイクル型(深く放電しても劣化しにくい)を選ぶ
最近はリチウムイオンの釣り専用バッテリーが主流になりつつあります。鉛より圧倒的に軽く(同容量で3分の1程度)、持ち運びが現実的です。価格は上がりますが、船と自宅を往復させる道具である以上、重量の差は大きな意味があります。
2バンク化という選択肢
船の電装をきちんと組むなら、始動用バッテリーとハウス用(機器・リール用)バッテリーを分ける「2バンク化」が根本的な解決策です。アイソレーターやスイッチを介して充電は両方に回り、消費は分けられます。
電装の改造にあたるため、マリーナや整備業者に相談して施工してもらうのが安全です。
必要な容量の考え方
厳密な計算は機種によりますが、実用的な目安として次のように考えます。
- 1回の巻き上げ(水深150m・オモリ150号)で消費する電力は決して小さくない
- 1日分(数十回の巻き上げ)を賄うには、釣り専用バッテリーで容量に余裕を持たせる
- 釣り用リチウムバッテリーは製品ごとに「〇〇号のオモリで△△回」といった目安が示されているため、自分の釣りに当てはめて確認する
迷ったらワンサイズ上の容量を選んでください。途中で電源が落ちると、その日の釣りが終わります。
配線と防水の注意点
ヒューズは必ず入れる
電動リール用のコードにはヒューズが組み込まれた製品を使ってください。ショート時に配線が発熱・発火するリスクを避けるためです。自作の配線でヒューズを省略するのは危険です。
極性を間違えない
プラスとマイナスを逆に繋ぐとリールが壊れます。赤がプラス、黒がマイナス。慌てているときほど間違えるので、接続は釣りを始める前に落ち着いてやる。
端子は塩に弱い
- 接点は海水で一気に腐食します
- 使用後は真水で拭き、接点復活剤や防錆スプレーで保護する
- バッテリーは船上で転がらないよう固定する。転倒・端子の接触は発火につながります
- コードは通路を横切らせない。踏まれて断線し、つまずきの原因にもなります
使い方のコツ
- 全速で巻き上げない:仕掛けが浮き上がりすぎ、口切れの原因にもなります。中速を基本に
- 大型がかかったら手巻きと併用:ドラグを効かせ、無理に巻かない
- 船縁停止を必ず設定:巻き込み事故を防ぎます
- 落とし込みは手動で:フリーで落とすときのサミングは手で行う
- 使わないときは電源を抜く:待機電流と誤作動の防止
よくある質問
Q. 手巻きの代わりに浅場で使ってもいいですか?
問題ありません。ただし電動リールは手巻きより重く、繊細な操作には向きません。浅場のタイラバやティップランのような釣りには不向きです。深場専用と割り切るほうが快適です。
Q. カー用品店のバッテリーで代用できますか?
動きはしますが、自動車用の始動用バッテリーは深い放電に向きません。繰り返すと急速に劣化します。使うならディープサイクル型を選んでください。
Q. 使用後のメンテナンスは?
水洗い可の機種でも高圧の水は厳禁です。固く絞った布で塩を拭き取り、風通しのよい場所で乾かします。とくに電源コネクタ部分の塩は必ず落としてください。年1回はメーカーのオーバーホールに出すと寿命が伸びます。
Q. バッテリーは船に置きっぱなしでいいですか?
推奨しません。放電と結露による劣化が進みます。とくにリチウムバッテリーは高温環境を嫌います。持ち帰って屋内で保管し、指定の方法で充電してください。長期保管時は満充電でも完全放電でもない中間の状態が適するとされる製品が多いため、取扱説明書に従ってください。
電動リールと船上電源を探す
本記事で解説した基準にあてはまる商品を探せるように、カテゴリ別の検索リンクをまとめました。価格や在庫は変動するため、リンク先で最新の情報をご確認ください。
| カテゴリ | 探す |
|---|---|
| 電動リール 狙う水深の2倍のライン容量を目安に | Amazon 楽天市場 |
| 釣り用リチウムバッテリー 始動用バッテリーと切り離すために | Amazon 楽天市場 |
| 電源コード ヒューズが組み込まれた製品を選ぶ | Amazon 楽天市場 |
| 船用の竿受け 深場は置き竿が基本になる | Amazon 楽天市場 |
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まとめ
- 水深100m超の釣りを繰り返すなら電動リールの導入価値がある
- 番手は狙う水深の2倍のラインが巻けるものから
- 船の始動用バッテリーから直接取るのは避ける。エンジンがかからなくなる事故が実際に起きる
- 推奨は独立した釣り用バッテリー(ディープサイクル型/リチウム)
- 本格的にやるなら2バンク化を業者に相談する
- 配線はヒューズ必須・極性厳守・端子の防錆
電動リールは「リールを買って終わり」の道具ではありません。電源の設計まで含めて準備できれば、狙える魚種が一気に広がります。
※本記事の内容は一般的な目安です。船の電装に関わる改造は、マリーナや整備業者に相談のうえ実施してください。


