船釣りにおけるレインウェアは、雨具ではありません。しぶきと風を防ぐ「装備」です。
晴れていても、走行中は波しぶきを浴びます。風速10mの向かい風なら、体感温度は大きく下がります。レインウェアの有無で、その日の快適さと安全性がまるで変わります。
この記事では、耐水圧・透湿性という数値の意味から、船で必要なスペック、選ぶ際に見るべき部分、手入れの方法まで解説します。
耐水圧と透湿性の意味
耐水圧=水を防ぐ力
生地がどれだけの水圧に耐えられるかを示す数値です(単位はmm)。
| 耐水圧 | 耐えられる状況 | 船での評価 |
|---|---|---|
| 2,000mm | 小雨程度 | × 不足 |
| 5,000mm | 普通の雨 | △ 短時間なら |
| 10,000mm | 強い雨 | ○ 船での最低ライン |
| 20,000mm以上 | 激しい雨、長時間の使用 | ◎ しぶきを浴びる釣りに最適 |
船で重要なのは、座る・膝をつく・寄りかかるといった動作で生地に圧力がかかる点です。濡れたデッキに座れば、その一点に体重がかかります。耐水圧10,000mmは最低ラインと考えてください。
透湿性=蒸れを逃がす力
内側の水蒸気をどれだけ外へ逃がせるかを示す数値です(g/m²/24h)。
| 透湿性 | 快適さ |
|---|---|
| 2,000〜5,000 | △ 動くと蒸れる |
| 5,000〜10,000 | ○ 一般的な釣りには十分 |
| 10,000〜20,000 | ◎ 動きの多い釣りでも快適 |
| 20,000以上 | ◎◎ ハイスペック。価格も上がる |
透湿性が低いと、外は防げても内側が汗で濡れます。結果として「雨に濡れたのと同じくらい冷える」ことになります。とくに冬場は致命的です。
両方のバランスで選ぶ
船釣りでの目安は「耐水圧10,000mm以上 × 透湿性5,000以上」。予算が許すなら「20,000mm × 10,000以上」を狙うと、季節を問わず快適に使えます。
素材の違い
| タイプ | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|
| PVC・ゴム引き | 完全防水だが透湿性ゼロ。蒸れる。安価で丈夫 | 3,000〜8,000円 |
| ポリエステル+コーティング | 軽量・安価。透湿性は中程度 | 5,000〜1.5万円 |
| 透湿防水メンブレン(ゴアテックス等) | 防水と透湿を両立。軽く快適 | 2万〜6万円 |
どれを選ぶか
- 年数回・短時間:コーティングタイプで十分
- 頻繁に乗る・通年:透湿防水メンブレンの価値が出る
- 作業中心・激しく濡れる:PVC系(漁師が使うタイプ)も選択肢
高価な素材は「濡れないこと」より「蒸れないこと」にお金を払っていると考えると、判断しやすくなります。
船で見るべきディテール
①袖口
最も水が入りやすい場所です。面ファスナーで絞れるか、内側にインナーカフ(伸縮する筒)があるかを確認してください。腕を上げる動作が多い釣りでは、ここから伝った水が肘まで濡らします。
②フード
- ツバの硬さ:柔らかいと風で視界を塞ぎます
- 調整の自由度:後頭部と左右で絞れると、振り向いても視界が確保できます
- 収納できるか:使わないときに邪魔にならない
③裾と股上
パンツは股上が深いものを選んでください。座ったときに腰が出ると、そこから濡れます。裾はブーツの外に出すのが基本なので、裾幅に余裕があるか確認しましょう。
④シームテープ(目張り)
縫い目から水は入ります。全ての縫い目にシームテープ処理がされているか(フルシームシール)を確認してください。ここが省かれている製品は、耐水圧の数値が高くても濡れます。
⑤色と反射材
落水時の視認性を考えると、明るい色が安全です。反射材が付いていれば、夜間や薄暮でも他船から見つけてもらいやすくなります。
サイズ選びの注意
- 中に着る分の余裕を見る:冬はフリースを着込みます。普段のサイズだと動けません
- ただし大きすぎない:ダボつくと風でバタつき、作業の邪魔になります
- ライフジャケットを着た状態を想定:上から着るので、その分の余裕が必要です
- 腕を上げてみる:試着時に、キャストの動作ができるか確認してください
価格帯別の選び方
| 予算 | 期待できるスペック | 向いている人 |
|---|---|---|
| 5,000〜1万円 | 耐水圧5,000〜10,000/透湿は控えめ | 年数回、短時間の釣り |
| 1万〜2.5万円 | 耐水圧10,000〜20,000/透湿5,000〜10,000 | 最も選ばれる価格帯 |
| 2.5万〜5万円 | 高透湿メンブレン、軽量、ディテール充実 | 通年・頻繁に乗る人 |
| 5万円以上 | 最上位素材、長期耐久 | プロ・年間100日クラス |
※2026年時点の一般的な目安です。
撥水力を復活させる手入れ
レインウェアが濡れるようになる原因の多くは、防水機能の故障ではなく撥水加工の低下です。
なぜ濡れるように感じるのか
表面の撥水が落ちると、生地が水を吸って重くなります。すると透湿性が働かなくなり、内側が蒸れて「濡れた」と感じます。防水膜自体は生きているのに、快適さが失われるわけです。
回復させる手順
- ①洗う:専用洗剤または中性洗剤で。柔軟剤・漂白剤は厳禁(撥水性を殺します)
- ②すすぐ:洗剤が残ると撥水を妨げます
- ③乾かす:陰干し
- ④熱を加える:低温のアイロン(当て布)や乾燥機で、撥水剤が再配列します
- ⑤撥水スプレー:それでも戻らなければ、フッ素系の撥水剤を使用
「汚れたまま使わない」ことも重要です。汚れは撥水性を落とし、生地の劣化を早めます。使用後は真水で塩分を流してください。
よくある質問
Q. 上下セットと単品、どちらがいいですか?
船釣りでは上下セットを推奨します。デッキに座る・膝をつく場面が多く、パンツがないと下半身から濡れます。単品で揃える場合も、パンツを後回しにしないでください。
Q. 普通のレインコートではだめですか?
短時間なら使えますが、風でバタついて危険なことと、透湿性がないため蒸れることが問題です。ポンチョ型は船上では巻き込みの危険があるため避けてください。
Q. 夏でも必要ですか?
必要です。夏場は薄手で透湿性の高いものを選べば、しぶき対策と日除けを兼ねられます。急な雨や、帰路の風対策にもなります。
Q. 洗濯機で洗えますか?
多くの製品は洗濯機で洗えます。ただし洗濯表示を必ず確認し、柔軟剤は使わないでください。ネットに入れ、単独で洗うのが安全です。
レインウェアを探す
本記事で解説した基準にあてはまる商品を探せるように、カテゴリ別の検索リンクをまとめました。価格や在庫は変動するため、リンク先で最新の情報をご確認ください。
| カテゴリ | 探す |
|---|---|
| 釣り用レインスーツ(上下) 耐水圧20,000mm以上が目安 | Amazon 楽天市場 |
| 高透湿モデル(GORE-TEX等) 蒸れにくい。夏場や動く釣りに | Amazon 楽天市場 |
| 防水パンツ単体 上だけ持っている人の追加に | Amazon 楽天市場 |
| 撥水剤・シームテープ 性能を維持する手入れ用品 | Amazon 楽天市場 |
※Amazonのアソシエイトとして、Boat Dreamsは適格販売により収入を得ています。当サイトは楽天アフィリエイトにも参加しています。
あわせて読みたい
まとめ
レインウェアは、船釣りの快適さを左右する基本装備です。
- 船では耐水圧10,000mm以上が最低ライン。20,000mm以上なら安心
- 透湿性5,000以上。ここが低いと内側が濡れます
- 高い素材は「濡れない」より「蒸れない」ためのもの
- 袖口・フード・股上・シームテープを確認する
- サイズは中に着込む分+ライフジャケットを想定して
- 濡れるようになったら洗って熱を加えると撥水が戻る
- 柔軟剤は絶対に使わない
1着あれば通年使えます。まずは1万〜2万円台から、袖口とフードの作りを見て選んでみてください。
※本記事の価格は2026年時点の一般的な目安です。手入れの方法は必ず製品の洗濯表示に従ってください。


